20241214

チャプレン べレク・スミス

セントポール会クリスマス礼拝

父と、子と、聖霊の名によって。アーメン

クリスマスおめでとうございます。このように皆さんとクリスマス礼拝をすることができてとても嬉しく思います。イエスがキリスト(メシア)であると信じても信じなくても、2000年以上前にイエスが誕生したことによって私たちの生きている世界がすべて変えられたことは確かでしょう。

多くの言語で「クリスマス」の日のことは「産まれる」という単語を由来としています。例えば、フランス語の「Noël」、スペイン語の「Navidad」、イタリア語の「Natale」などがあります。これに沿って、日本のキリスト教の暦では「降誕日」と呼ばれています。ドイツ語では「聖なる夜」(Weihnacht)と呼ばれています。しかし、ご存じの方も多いと思いますが、英語の「クリスマス」という呼び方は他の言語とは大分ことなります。「クリスマス」は複合語であり、英語の「Christ」(キリスト)と「mass」(ミサ)を組み合わせて作られたことばです。この「クリスマス」という言葉は、1600年以上前からイエスの誕生を深夜のミサを行うことによって祝う習慣を指すことばです。きっと馴染みのあるフランスのクリスマスキャロルである「Minuit, chrétiens」(O Holy Night)の歌詞を見ると、ヨーロッパの方でイエスが夜中に誕生したという伝統が広まっていったことが分かります。

Minuit, chrétiens, c'est l'heure solennelle,
Où l'Homme-Dieu descendit jusqu'à nous
Pour effacer la tache originelle

Minuit」という言葉は深夜調度を表しますし、24日から25日にかけての深夜にミサを行うことが長年にわたりヨーロッパでは伝統として受け継がれています。その伝統は今の立教新座でも受け継がれていて、今年も1224日の23時からミサという礼拝を行います。

実は、本日行われているクリスマス礼拝というのは18801224日にイギリスで行われた「Nine Lessons and Carols」を短くしたものです。九つあった聖書朗読を四つに減らし、キャロルも同じく数を減らしています。立教学院のクリスマス礼拝と呼ばれているものも朗読が七つありますが、同じくこの「Nine Lessons and Carols」の礼拝を短くしたものです。「レッスンアンドキャロルズ」を省略して大学聖歌隊では「レスキャロ」と呼んでいます。このレスキャロの礼拝はもともと聖書の最初にある創世記という書物からの朗読で始まるものです。人間がどのように罪に陥ったか、そして神がこの世界と人間をどのようにして罪と罪の汚れから救うのかという大きな話を辿っていきます。神が世界と人を罪から救うためにご自分の子をこの世に送るという話が神の愛を表します。この礼拝のすべては私たちがイエスご自身に目を留めるために行われるものです。そして、この礼拝によってクリスマスのお祝いが終わるのではなく、この礼拝をもってクリスマスが始まると考えた方が良いのではないかと思います。今日のクリスマス礼拝は「ミサ」ではないので、「クリスマス礼拝」というよりも「レスキャロ」と呼ぶ方が厳密には正しいと思います。2000年以上前の3人の占星術の学者のように、また、ベツレヘムの近くにいた羊飼いたちのように、私たちはある乳飲み子に目を向けられるように神から誘われています。どのような子が産まれたのか、その産まれによってどのように世界が変えられていったのか、私たちは聖書の言葉をはじめとして学ぶように呼び掛けられています。この世界が人間の罪から救われる必要があると思うのであれば、イエスのところに来る必要があります。

夜中なので来づらいとは思いますが、1224日の23時から始まる礼拝が本来の「クリス=マス」です。クリスマスのライトやプレゼントは聖書の話に繋がるところはあります。しかし、クリスマスの光もプレゼントもすべてイエス・キリストへと導くものとして存在します。3人の博士のように、また、羊飼いたちのように、イエスのところへと導かれることによってのみ私たちは本来のクリスマスの意味を知るようになります。私たちはもちろんベツレヘムという町に向かうわけではありません。私たちがイエスへと向けられるということはまず、神のことばである聖書を聞き入れることと、イエスの身体と言われる教会で神に感謝と賛美をすることによって始まるものです。今日の礼拝が聖なる夜に産まれたイエスへと導かれる第一歩となることを祈ります。

父と、子と、聖霊の名によって。アーメン